青梅と八ヶ岳の森(その1) 森守会メンバーのS.Hasumiさんからの投稿です

森を歩いて

夏の終わりに

秋を少しずつ感じる9月になりました。山でもひと雨ごとに気温も下がり、標高の高い山ではそろそろ色付きはじめる季節になりました。季節は進み始めています。

登山でよく訪れる「八ヶ岳」と森林整備のボランティア活動をしている「青梅の森」を歩きながら感じたことをお届けします。

青梅の森と八ヶ岳について全3回でお届けします。

八ヶ岳とは

八ヶ岳は標高800mから2800mを超える主峰赤岳を頂く長野県と山梨県にまたがる山域です。

標高800mから1600mを山地帯。1600mから2500mを亜高山帯。2500m以上は高山帯に分類されます。

図 1八ヶ岳 美濃戸 北沢(標高1700m)<2019年8月>

山地帯から亜高山帯へ変化しつつある1700m付近です。

ダケカンバとシラビソなどの広葉樹と針葉樹が混じり合い自然林を形成しています。

登山道には明るい陽がさしています。思わず「気持ちいい」と声が出ます。

亜高山帯の上部で森林限界を迎え、高山帯では高い樹木は生える事ができない厳しい環境です。

図 2八ヶ岳 赤岩の頭(標高2656m)から硫黄岳への登山道<2023年7月>

稜線の脇にはハイマツが広がっています。すでに高い樹木はありません。

青梅の森

標高は最高点で295mの低山です。青梅の駅からも500mと身近な森です。

スギやヒノキなどの針葉樹とコナラなどの広葉樹がバランス良く広がることで、適度の明るさが保たれています。ヒサカキなど低木の常緑広葉樹が空間を埋めながら心地よい林を形成しています。整備された明るい林は、遊歩道を散策する人々を楽しませます。

図 3青梅の森 外周路<2023年6月>

新緑と明るい日差しが差し込む遊歩道は身近に自然を感じる事ができる素敵な場所です。

標高がもたらす八ヶ岳と青梅の違い

歩いていて感じることは、標高の違いからくる気温です。八ヶ岳は8月でも最高気温は25℃を超えません。稜線上であれば風が吹くと寒さを感じます。青梅はやはり都心と比べれば若干低いですが、今年の7月下旬は30℃を超えて35℃を記録した日もあるくらい気温は違います。

植生にも影響があり八ヶ岳の山麓の標高が低いところではスギやヒノキ、コナラが見られます。この辺は青梅の植生と近いです。

標高が上がり800mを過ぎるとミズナラ、ブナ、カラマツなどが育ちます。さらに高度が上がった亜高山帯ではダケカンバ、シラビソ、トウヒなどが森を作っています。

八ヶ岳で有名なのはコケの森です。針葉樹林帯では地表にコケが多く広がっています。

図 4白駒池の森(標高2115m)<2023年6月>

オオシラビソの森にコケがびっしり生えています。ここは2000mを超える亜高山帯に属します。冬は雪に閉ざされて雨量も多く水分をよく含んだ土壌がコケを育てています。表土が薄い北八ヶ岳の特有の岩石が多い地質にも影響があると言われています。スギゴケをはじめ多くの種類のコケが見る事ができます。

足元にも目をやり、ゆっくり歩くことで標高がもたらす植生の違いを感じます。

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