「屋久杉と青梅の杉は兄弟姉妹。」(森守会メンバーのT.Adachiさんからの投稿です)

縄文杉は、その名の通り、縄文時代から生え続けているであろう樹齢4000年以上の一本の杉を指します。そのような長い樹齢となる杉は、屋久島にある屋久杉しかありません。 日本列島にある杉の樹齢と形状はあまりにも違いがあるので、屋久島特有の別の亜種と思い込んでいましたが、5月27日に放映されたNHK「ブラタモリ」で、屋久杉と日本列島にある杉は同種であることを知りました。屋久島の杉と遠く離れた東京青梅の杉はともにヒノキ科スギ亜科スギ類に属する学名クリプトメリアジャポニカという日本固有のものとなります。

屋久杉は江戸時代から高級材木として貴重な天然資源でした。平地の少ない屋久島島民は、米の年貢の代わりに木材を薩摩藩に収めていたそうです。なぜそこまで樹齢が長くなり、幹は太く良い材質となり得たのか、その理由のひとつは屋久島の雨量にあるそうです。

屋久島は海中から花崗岩プレートが盛り上がりできた島で、1000m級(最高峰1926m)の山々が連なっており、「洋上のアルプス」とも言われています。島は黒潮の温かい潮流に囲まれていることから、そこから生まれる水蒸気が山にぶつかりながら上昇、急激に冷やされ水滴となり、日本の平均の2倍以上の降水量の雨をもたらします。昭和初期の女流作家、林芙美子の「浮雲」の一節には「はア、一ヶ月、ほとんど雨ですな。屋久島は月のうち、三十五日は雨といふ位でございますからね……」というセリフが在る程に雨が多いのです。

また、その雨を蓄えてくれる苔があるからこそ、屋久杉は長く生き延びる確率が上がるそうです。しかし、屋久島は花崗岩という岩でできている島なので、土壌に栄養があるわけではありません。そのため、直径が5cm太くなるだけで100年、通常の杉の木の10倍かかると言われています。さらに、屋久杉は日本列島の杉よりも樹脂が多く暴風雨でも朽ちにくいように成長をします。栄養が無かったことが幸いし、年輪の間隔は狭くなり、樹脂に守られ樹齢を重ねることで、丈夫な木となり高級木材となり得たということ。環境適応力に感心しきりです。

写真は2019年7月 屋久島にて筆者撮影     

Follow me!